【47都道府県 流浪の食い道楽】②青森

 出張、転勤、旅行…。全国を渡り歩いてきた筆者が、各地のグルメを独断と偏見に基づいて紹介する。2回目は初回から南下し、青い森が広がる彼の地から。

 青森のグルメで代表的なものと言えば大間のマグロ、そして県内だけで50品種を誇るリンゴが思い浮かぶ。つがる、紅玉、王林など一口かじって品種を当てる「利きリンゴ」なるものがあり、多くの県民がその特殊能力を持つと聞く。また、最近では煮干しラーメンや味噌カレー牛乳ラーメンなど独自のラーメン文化も注目されている。

 都内にも青森料理や青森の食材を使ったレストランが増え、小欄も煮干しラーメンなどにはしばしばお世話になっている。だが、ひねくれ者の小欄はあえて今回もやや「ひねり」を加える。

 小欄が推すのはコレ。今、まさに旬を迎えているトゲクリガニだ。

カニが花見のお供

 トゲクリガニは、いわゆる毛ガニと同じく「クリガニ科」のカニだ。例年、4月下旬から5月下旬ごろまで陸奥湾内で漁獲される。毛ガニよりは少し小ぶり。ちょうど青森県内の桜の見頃に旬を迎え、青森では古くから「花見ガニ」「桜ガニ」とも呼ばれ、お花見の宴席には欠かせないシロモノだ。東北屈指の桜の名所、弘前公園は今年は例年より早く満開になり、葉桜になってしまったというが…。

桜が満開となった弘前公園=2019年5月

 小欄は2年前のこの時期、青森を旅した。その際、ロッジに泊まって自炊することになったのだが、同じ時期に東北縦断旅行のために先乗りしていた後輩Tがおり、「市場で良いもの見つけたので一緒に食べましょう」と大量のコイツを持ってきてくれた。

 茹でる前は甲羅が黒っぽく、旨そうに見えない。水洗いし、大きな鍋で15分ほど塩茹ですると艶っぽい朱色に様変わりし、がぜん食欲をそそられる。「こっちがオスで、こっちがメスで」。説明するT。「なんでもいいから早く食おう」。小欄はそう急かすと、オスをむんずと手づかみした。

オスもメスも激ウマ

 甲羅の尻に指をかけ、頭のほうに剥き上げる。カニの足から身を取り出しながらしゃぶりついた。うんうん、これは旨い。淡白ながら上品な甘さがある。さらに、地道に身を甲羅にほじくり出して、クリーム色のカニ味噌と和えて食べてみる。この味噌は旨い!毛ガニの味噌よりも濃い。一気に濃厚な味わいに変わった。甲羅の柔らかいところにもチューチューとしゃぶりつく。

 一心不乱にオスを堪能した後、今度はメスだ。こちらは内子と呼ばれる鮮やかなオレンジ色の卵がぎっしりと詰まっている。一口つまんでみる。旨い!やはり濃厚な味わいだが、先ほどのカニ味噌の濃厚さとは違う。魚卵系ならではの爽やかな濃さだ。ああ、旨い。カニ味噌と和えるとさらに贅沢な味わいになる。資源確保の観点から毛ガニのメスは捕獲できないだけに、このトゲクリガニのメスは貴重だ。

 これは酒が進む。身や味噌はオスのほうが旨いが、貴重な内子を味わえる点ではメスがおすすめか。まあ、これは人それぞれの好みにもよるだろう。時期や購入方法にもよるが、トゲクリガニは1杯300〜400円前後で買うことができる。コスパの良さも魅力の一つだ。

 青森出身の文豪・太宰治も大のトゲクリガニ好きとして知られ、小説「津軽」の中で、友人の故郷(カニの名産地・蟹田)で食べたカニを「もぎたての果実のやうに新鮮な軽い味」「好物の蟹の山を眺めて夜の更けるまで飲みつづけた」と書いている。まれではあるが、関東のスーパーにも並ぶことがあるので、見つけた際はぜひ文豪の愛した味を試していただきたい。

(田端素央=ライフラプラスONLINE編集長)

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