【47都道府県 流浪の食い道楽】③秋田

 出張、旅行、転勤…。全国を渡り歩いてきた筆者が、各地のグルメを独断と偏見に基づいて紹介する。3回目は世界遺産やユネスコ無形文化遺産を抱える「美の国」から。

 数年前、東北地方に赴任していた小欄はともかく、他地域、とりわけ西日本の人たちにとって秋田は縁遠い存在かもしれない。そうした人たちに「秋田といって思い浮かぶものといえば何?」と訊けば、恐らく、無形文化遺産に選ばれた「なまはげ」、世界遺産の「白神山地」、誰もがイメージしやすい「秋田美人」(関連記事はこちら⇒「県民性RANKING2021・美男美女自慢」)、海外でも人気の「秋田犬」などが挙がるだろう。

野にたたずむ秋田犬

 一方、当欄の本題であるグルメも、東北を代表するブランド米である「あきたこまち」、秋田郷土料理の代表格「きりたんぽ」、秋田の県魚「ハタハタ」、日本三大うどんの一つとされる「稲庭うどん」などが挙げられる。

秋田料理の代表格である「きりたんぽ鍋」

 今は都内に秋田料理のお店も増え、スーパーで真空パックのきりたんぽを見かけることも少なくない。だからこそ、ひねくれ者の小欄は今回もあえて「ひねり」を加えたい。

 小欄が推すのは「ジュンサイ」だ。普通に秋田の名産品じゃないかーと突っ込まれた方には、大変申し訳ないと思う。「ひねり」が足りなかったかもしれない。


 高級食材として知られ、和食のお店、割烹などで提供されることの多いジュンサイ。京都出身の小欄はひそかな好物の一つだ。京都のお店にはジュンサイを使った料理が多い。一つ例を挙げれば、鱧(はも)などと一緒に炊いた椀物。濃厚な鱧の旨味にジュンサイの食感があいまって絶品だ。

 京都とジュンサイの関係は深い。京都盆地の北端にある深泥池(みどろがいけ)は、かつてジュンサイの産地だった。かの美食家・北大路魯山人が「深泥池産が飛び切りである。これは特別な優品」と絶賛したほどだ。その後、深泥池は天然記念物に指定され、池のジュンサイを採取して食べることはなくなった。さらに一時は水質悪化で絶滅の危機も叫ばれたが、最近は水質改善の努力もあって、再生しつつあるという。ひょっとすると、深泥池のジュンサイが再び食用として出回る日が来るかもしれない。

深泥池のジュンサイ(丸い葉の植物)。黄色い花を咲かせているのはタヌキモ

 話が京都に飛んでしまった。時を戻そう。京都と関係が深いジュンサイだが、実は秋田県の一大名産品だ。日本一の収穫量を誇るのが同県の三種町(みたねちょう)。ジュンサイは水面に葉を浮かべる浮葉植物で、湖沼に根を張り、伸びた茎から水面に楕円形の葉を浮かべる。春から夏にかけて鮮やかな緑一色になった沼で、小舟に乗ってひとつずつ手作業で若い芽を収穫するという。太陽の光でキラキラ輝く様子は「食べるエメラルド」の異名を取る。

ジュンサイの摘み取り作業。秋田県三種町は生産量日本一を誇る
「食べるエメラルド」とも呼ばれるジュンサイ

 少し前のことになるが、出張先の秋田の小料理屋でジュンサイの酢の物をいただいた。葉を覆うゼリー状のぬめりからヌルっとした舌触り、プリプリっとした食感が次々と襲ってくる。旨い。ジュンサイ自体は主張しないのだが、何とも言えない幸福感で満たされる。まさに命の洗濯だ。椀物や天ぷらも良いが、酢の物はダイレクトにジュンサイという食材のみずみずしさを感じることができる。

ジュンサイの酢の物

 小欄にとって、京都と秋田を繋いでくれた食材であるジュンサイ。三種町での収穫はまもなく最盛期を迎える。

(田端素央=ライフラプラスONLINE編集長)

★47都道府県 流浪の食い道楽の過去記事はこちら★

➀北海道編

②青森編

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