【元病院長のこだわり定年ライフ】ブラックバス釣りで稼ぐ! 夢は潰える

順天堂大学医学部付属順天堂越谷病院の院長職を2021年3月で退任。定年を迎えた元病院長は、これまでの人生で極めてきた数多くの趣味に、たっぷりの時間をかけて、さらに磨きをかける!

フライフィッシングに挑戦したく

 お久しぶり。前回、この地で老後の暮らしを楽しもうと入念に準備し、ほぼ成功と思われた矢先、思わぬ害獣の攻撃により儚くその夢は破れたお話をした。そして、今やプロのディアハンターを生業とし、マジこの問題に取り組もうかと考えているということも。実は、その前は全く違うことを考えていた。それはプロの漁師であった。

冬の八ヶ岳。束の間の涼感を=筆者撮影

 八ヶ岳(上の写真)周辺にはその雪解け水を起源とする多くの渓流があり、南相木村を流れる千曲川の源流や山荘の一帯を縫うように流れる杣添川(下の写真)などでは放流されたニジマスや天然山女(ヤマメ)釣りが楽しめる。私は趣味として釣りをする人間ではないが、実はいつかはフライフィッシングに挑戦したいという思いがあり、引退したら本格的に始めようと考えていた。今さらミミズで釣りもないだろう、ま、形から入るのが私の常である。

杣添川の渓流=同
ニジマス(資料写真)。いつかはフライフィッシングで釣りあげたい

北海道では鮒釣り名人

 子供の頃は任天堂のゲームもなく、限られたお楽しみの一つに雪解け後の鮒(フナ)釣りがあった。私が育った北海道の街の近くには石狩川が流れており、その周辺には客土の窪地に氾濫水が貯まってできた沼や、川の蛇行部に出来る三日月湖が沢山あり、ヘラ鮒釣りのメッカとなっていた。そんな沼まで家から自転車に乗ってよく出かけていた。春は腹を空かした鮒が入れ食い状態で、あっという間に40~50匹も釣れていた。しかし、中学生になってからはテニスに熱中し、釣りを趣味としていた父に誘われてもお供をしたことは終ぞ一度もなかった(今では反省している)。

 そんな私が再び釣り竿を手にしたのは、以前お話ししたようにコロラド留学中にキャンプを楽しむことを覚えたためだ。帰国後も、月に二度ほど本栖湖を中心にファミリーキャンプを楽しんでいた。本栖湖にはブラウントラウトが放流されており、これをルアーフィッシングで釣り上げる。かくして再び始めた釣りも上の子供たちが大きくなってからはすっかりご無沙汰となっていた。が、その時以来の習慣で今でも車に釣り竿2本と道具一式を持ち歩いている。

松原湖=筆者撮影

一匹釣ると500円。これで生活だ!

 さて、八ヶ岳周辺には、美しい渓流に加え、火山活動によって生じたいくつかの湖沼群がある。その中の松原湖は、猪名湖、長湖、大月湖などの湖沼群の総称で、一般的にはその内一番大きな 猪名湖が松原湖と呼ばれている(上の写真)。そこでは鯉やヘラ鮒、そしてワカサギが養殖され、春夏秋冬釣りを楽しむ太公望が訪れている。養殖魚を釣る趣味はないのだが、ボートに乗ると八ヶ岳の全貌が見渡せ、湖上に写る景色も美しいことから子供達にせがまれてそこをよく訪れた。

 そんな夏のある日、船着き場に以前には見たことのない大きな水槽が目についた。覗いて見ると、ブラックバスとブルーギルがうようよ泳いでいた。そして”この湖で釣ったブラックバスをお持ち下さると一匹500円で買い取りますー南相木村漁業共同組合ー”との張り紙が一枚。とうとうこの湖もブラックバスに侵された。聞けば、”昨日は5匹釣ったお客さんがいたよ”と言う。この湖の入漁料は一日500円、2,500円貰えば2,000円の稼ぎ、これは学生時代にやったパチンコよりも遙かによい儲け口。そこで、車に積んであった鱒釣り用のロッドを取り出し、500円の入漁料を払って、ルアーを投げ入れた。本来バス釣り用には専用のロッドがあり、餌もワームと言われるミミズのような疑似餌を使うとよく釣れる。バス釣りの経験は全く無かったが、自称”一流の科学者”である私は、経験は無くとも文献による知識はあり、それを実践するすべも知っていた。結果は一時間弱で三匹もつれた(写真4)。この日はもう時間が無かったので1,500円の上がりで手を打って引き上げた。

初めて見たブラックバスを差し出す我が子たち。彼らは今はもう大人です=同

 マクドナルドの時給は900円程度だろうか。しかし、やたら笑顔を振りまくのも楽じゃない。してみれば、この仕事、趣味と実益を兼ね、さらに環境問題の解決に繋がる良い商売と思われた。老後はこの地でこれを生業とし、さすればたとえ妻子に見捨てられてもセブンイレブンの弁当で食いつなぎ、つつが無く余生を過ごせるわいとワイングラスを傾けながらその夜密かにほくそ笑む私であった。

一転、楽しむだけとなりました。。

 かくしてその後もバス釣りを楽しんだが、南相木村漁業共同組合の資金が枯渇したのか、はたまたバスが駆逐されたのか(そんな筈はない)、最近は残念ながら釣っても一匹500円は頂けなくなった。

 と言う事で年金に加え、当てにしていた生活資金調達の道がこれまた儚く夢と消えた。とかく移ろう時の流れの中で老後の生活もままならないのがこの世の中だ。

髙崎芳成(たかさき・よしなり) 1950年8月生まれ。順天堂大学医学部卒業。同大博士課程修了。米コロラド州立大学研究員を経て、2005年順天堂大学医学部教授。専門はリウマチ科・膠原病内科。2011年、順天堂大学医学部附属順天堂医院院長、2016年、順天堂大学医学部付属順天堂越谷病院院長。2021年3月に同院長退職。日本内科学会評議員、日本リウマチ学会理事長などを歴任。70歳になり八ヶ岳山麓に拠点を移した。バイク、スポーツカー、ワイン、カメラ、スキーなど多彩な趣味を謳歌し、週2日だけ都内で医師として働く。

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