【元病院長のこだわり定年ライフ】ライカ、ポルシェ、、技術者の思想は時を超える!

順天堂大学医学部付属順天堂越谷病院の院長職を2021年3月で退任。定年を迎えた元病院長は、これまでの人生で極めてきた数多くの趣味に、たっぷりの時間をかけて、さらに磨きをかける!

”古きもの”に魅せられて

 オートバイ、キャンプについて書いたが、私の趣味はさらにスキー、カメラにオーデイオ鑑賞などと多岐にわたっている。それにかなりのカーマニアでもある。ここに共通するのはいかにもメカ好きと言うことではあるが、加えてもう一点大切な思いがここにある。今回はそれらの趣味の原点を総論的に述べてみる。

 音楽ではなく敢えて『オーデイオ鑑賞』というのは、コンサート会場に行くよりは最高のプレイヤーの最高の録音(演奏と言ってもよいが)を納得のいく音を出す機械の前でリラックスして聞くのが心地良いからである。特に、今日のデジタルよりもアナログの音が良い。ジャズなどの名盤を双方で聞き比べるとレコードの音場が明らかに優れ、CDではよく聞こえないVillage Vanguardの客の会話が聞こえてくる。クラシックも同様で400枚近いLPが手元にある。オートバイもお気に入りの愛車は1976年型BMW R90S、車も1979年型PORCHE 911SC、さすがにスキーはカービングに切り替えたものの、古いロシニョールSMのスタビリティにも満足だ。このような”古きもの”へのこだわりは年寄りの定年男の証拠と思われるかも知れない。しかし、”古きもの”には”新しきもの”が失った良さが生きている。

生まれて初めて自分のカメラで撮った母の写真

小学2年生で母親を撮影。女性写真にはまる

 私のカメラ歴は誕生日のプレゼントに買ってもらった”フジペット”に始まる。上の写真は、小学2年の時、初めて自分のカメラで撮った写真の1枚で、”ローマの休日”のヘップバーン風のカットに当時流行のサックドレスを纏う女性は私の母である。この写真を誉められた私は、以来、女性写真家の道を歩むことになる(いわゆる”in printed  phenomenon”)。その後、写真にある意識を持って取り組んだのは大学に入ってからで、かつては戦後の日本を代表する写真家の東松照明が沖縄の人々を撮った”太陽の鉛筆”に憧れ、一歩でもそれに近い表現を求めて努力した(下の写真)。

1972年の学生時代、ロンドンのピカデリーサーカスで

しかし時を経て、今日では肖像権の問題で容易に他の人は撮れないし、諸般の事情で他の女性を喜んで撮っているわけにもいかなくなった。さらに時間の制約もあり、いつしか私は都市風景写真家と化していた(下の写真)。

ライカズミクロン35mmF2.0で撮影した京都白川

その目的に最もフィットするのがライカだった。かつて家一軒の値段と言われた機械も中古となればポケットマネーで買える。その中古のライカ(下の写真)に出会い、魅せられた。

中古で買ったライカⅢFとM3

クラフトマンシップが息づく中古レンズ

 コンピューターによる設計、圧縮成形による非球面レンズ作成の簡便化、そしてコーティング技術の進歩は国産レンズの描写の均一化と没個性化をもたらした。しかし、ライカのレンズはそれぞれに個性があり、同一レンズでも開いたときと絞った時で画質が大きく変化する。特にそれは古いレンズで顕著であり、多くのマニアが中古レンズに熱中する。しかも、カメラ自体も含めて古のドイツ・クラフトマンシップに裏打された秀逸な機械は新型よりも良質で、その歴然とした差は全てに及んでいる。これはバイクも車も同様だ。

 加えて、ライカにはオスカー・バルナックという一技術者の思想が生きている。体が弱かったこの技師は映画用35mmフィルムをスチルカメラの世界に持ち込んで、自分の体力に合わせた世界で一番小さなカメラを創作した。この独創性とそれを支える高い工作精度が使う人の心を触発し、この機械に形而上の付加価値を添加する。

 時代の要求は、新しきものからオリジナルの精神を奪いさり、古きものをより美しく際だたす。カメラにしても車にしても、私はそれを創作した個々の技術者の理念が明確に表現されたものに敬意を表す。その”作品”に託した人の思いを感じ、イマジネーションを膨らませ、そして自らの仕事も問い直す。

 これらは安い買い物とは言えないが、高い授業料とも思えない。

ライカM-10によるお気に入りのミュージシャン

デジタル技術の融合で”温故知新”

 さりとて新しきものの価値を認めないわけではない。デジタルカメラの家電化を嘆きながらも、その卓越した影像表現力と高感度性能は到底フイルムでは求められない。そこで私は古いライカから高性能国産カメラに移行した。しかし、ここに来てライカの性能が国産カメラに追いつき、再び最新のM-10 も使い始めた。これにより忘れ去られていた古いレンズが全て使用可能となり、新旧合わせた表現の多彩さが再び楽しめるようになった。それら使ってジャズミュージシャンの写真を撮っている(上の写真)。

 まさに古きを尋ね、新しきを知る世界の復活。この先、個々の趣味に共通するこの温故知新の世界について述べてみようと思う。

髙崎芳成(たかさき・よしなり) 1950年8月生まれ。順天堂大学医学部卒業。同大博士課程修了。米コロラド州立大学研究員を経て、2005年順天堂大学医学部教授。専門はリウマチ科・膠原病内科。2011年、順天堂大学医学部附属順天堂医院院長、2016年、順天堂大学医学部付属順天堂越谷病院院長。2021年3月に同院長退職。日本内科学会評議員、日本リウマチ学会理事長などを歴任。70歳になり八ヶ岳山麓に拠点を移した。バイク、スポーツカー、ワイン、カメラ、スキーなど多彩な趣味を謳歌し、週2日だけ都内で医師として働く。

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